Runzdevous Ekiden

vol4.川井大輔さん -川井治療院


第4弾は、東京マラソンで鍼ボランティア(ランツボ・ハリケアステーション) に参加されている、鍼灸師の川井大輔さんです。
東京マラソンに参加された体験談から鍼灸マッサージとマラソンの関係性について、お話しいただきました!

Q1.東京マラソンで鍼灸をすることになったきっかけを教えてください

もともと私は治療院の外に出ることはあまりなかったのですが、鍼灸業団である「東京都鍼灸師会」の活動をもっと普及させたいと思い、活動をはじめました。
活動をしていく中で東京マラソンの「鍼ボランティア(ランツボ・ハリケアステーション) 」を知り、参加するようになりました。

まず、「鍼ボランティア」に参加するためにはいくつかの研修会で学ぶ必要があります。この研修会はとても勉強になりました。
研修会では100人を超える鍼灸師が参加して、ランナーの状態を診させていただくことができ、私にとってはとても貴重な体験でした。

Q2.印象に残ったエピソードを教えてください

「東京マラソン」はとても多くの方が参加するマラソン大会ですから、外国のランナーも多く参加されます。
特に外国人ランナーは日本の鍼伮に興味津々で、英語と日本語を混ぜていろいろな質問をしてくださいます。

私たちも「ランツボ」に関しては英語での対応を勉強していますので、英語と日本語で対応しています。

ところが、実際はなかなか意思疎通が難しい(笑)。
「Hip」と言われると習っていたはずなのですが、どうしてもお尻だと思ってしまい、お尻を触ると「NO、NO!」と言われることがありました。

実際に会場ではどのようなコンディショニングをしていますか?

普段の私たちでしたら「鍼」というと髪の毛程度の細さの鍼の「毫鍼」と呼ばれる鍼を使いますが、
東京マラソンでは「円皮鍼」と呼ばれるものを使います。

マラソンランナーに限らず、スポーツ後の疲労物質を除去するために最適な弱刺激で持続力があるのが円皮鍼です。

この「円皮鍼」を国家資格を有したベテランの鍼灸師が的確なポイント(ツボ)を選んで貼っていきます。
この鍼はエレキバンのようなシール式の鍼で、磁石ではなく極短い鍼になっております。

鍼の長さによって感じ方は違いますが、東京マラソンでは一番短い鍼と関節など動きのある箇所には先が小さな突起がついている2種類の鍼を使います。痛みは99%ありません。
痛みはありませんが、効果はしっかりあるので「次の日の筋疲労の回復が違う」とランナーから好評です。

そのほかにもアイシングなども行っており、症状によっては医師と連携して救護室にお連れすることもあります。
私は「鍼ボランティア」として参加させていただいていますが、一番の施術は「声かけ」だと実感しました。
ランナーにとって特別な日を鍼灸師として「完走おめでとうございます!」とお祝いできること、「がんばりましたね!」と労うことがすばらしい施術効果があることを心して、みんなで出迎えられる姿勢を大事にしています。

Q4.鍼灸マッサージと運動の関係について教えて下さい。

鍼灸の適応疾患はとても多く、世界保健機構(WHO)にも認められています。

特にアメリカでは今年の米国内科学会が発表したガイドラインの中で、腰痛は薬物療法よりも第一選択の中に鍼灸とマッサージが推奨されるようになりました。
鍼灸は医学的根拠においても多くの論文が世界中で発表されており、世界標準化への期待が高まっています。

スポーツ医療においても、今まで当たり前だったことが覆るようになっています。

例えば、急性期症状においてのRICE処置です。これまでは捻挫したときなど、冷やすことが当たり前になっていました。
ところが、近年では「※アイシングは痛みを麻痺させるが治す状態を遅らせてしまうかもしれない」とRICE処置の提唱者がHP上で発信しています。

鍼灸やマッサージは、私たちのカラダがもともと持っている「治る力」である自然治癒力を高める療法です。
現代医学は万能ではありませんので、治療の進歩とともに東洋医学の考えが理にかなっていることが証明されてきています。
現在の医学において、自然治癒力の向上が最大のトレンドになっています。まさに、鍼灸マッサージはその最先端である可能性を秘めていると思います。

※炎症がひどく痛みが強いときは、しっかりアイシングすることが重要です。概ね20分以内のアイシングを心がけましょう。
また、ケガの状態が大きなときや低体温になったり、チアノーゼ(顔面蒼白)があるときは、隣接する医師常駐の医療ブースに連絡搬送し、医療連携の体制をとっています。

Q5.マラソン好きのランナーへのメッセージ

多くのランナーを診させていただいて、みなさんの健康意識の高さは大変尊敬しています。
無理なく運動することは最大で最高の医療だと私は感じています。

走ることを楽しめるその気持ちを多くの人に共感いただけたら、きっと私たち医療従事者は必要なくなる日がくるように思えます。
「未だ病まざるを治す」。これは未病治(治未病)という言葉で知られていますが、本来は我々、鍼灸師が健康維持のために施術していくものです。

しかしながら「未だ病まざるを治す」の本質は、みなさんが健康への意識を高める「養生」の精神に結び、楽しみながらランニングすることに繋がります。
つまり、健康とは「過不足無く行う」ことです。

楽しいからといって無理を通せば健康は悪化して怪我のもとになり、日常生活に触りが出てしまいます。
痛んだカラダで無理に走れば楽しさも半減してしまいます。

休むことも含めて、みなさんがハッピーになれるランニングをしていきましょう。
微力ながら鍼灸師もお手伝いしますので!